國瑞彦神社

眉山の東麓、徳島市伊賀町に鎮座する國瑞彦神社は、蜂須賀家の歴代藩主がお祀りされている神社です。1806年、11代藩主の蜂須賀治昭が、藩祖である家政を偲び「くにたまひこ」の神号を受けて富田八幡神社の隣に奉祀しました。そして1871年、最後の藩主茂韶が東京へ移る際、蜂須賀の家祖である正勝公以下、歴代藩主と文武有功の士92人の霊を合祀したということです。 ですから國瑞彦神社のご祭神は、蜂須賀家政と歴代藩主の方々。所願成就と一族繁栄、そして子孫繁栄にご利益があります。

そんな国瑞彦神社を、もちろん蜂須賀家は篤く崇敬。江戸期には祭祀料銀3貫10匁を授け、明治維新後には金300円を寄進しました。大雑把に計算すると、銀3貫とは300万円くらい。そして明治時代の300円は、現在の110万円くらいに相当します。当時においてはかなり高額ですし、社殿修復も全て蜂須賀氏が行っていたというのですから、崇敬の篤さが伺えますね。

現在は京都市博物館蔵の重要文化財である「太刀 銘一竿子忠綱彫 宝永六年八月吉」も、國瑞彦神社が所有者であり、蜂須賀家からの奉納とされています。

蜂須賀の援助を受けていた頃は、お城のような石垣と立派な神門を誇っていた國瑞彦神社ですが、第二次世界大戦後は荒廃していきます。

戦火で大部分を焼失し、現在は鳥居もなく注連柱だけで狛犬もいないシンプルな境内に、1988年3月に新築された社殿がひっそりと建っています。残った神門の一部は近くにある瑞厳寺の山門に再利用されているそうです。

派手さはないものの桜並木もあり、春には美しい國瑞彦神社。御朱印は、お隣にある富田八幡神社の社務所でいただけます。

アクセス：大道一丁目バス停より徒歩4分。大道バス停より徒歩5分。阿波富田駅より徒歩15分。