王子神社
御朱印がかわいい化け猫を祀った猫神さま
徳島市八万町、文化の森総合公園にある王子神社。駐車場は文化の森総合公園を共通で無料で利用できます。
創建年は不詳ですが、鎌倉時代にはすでに存在していたと伝わるとても由緒ある神社です。江戸時代には徳島家のご家老長谷川奉行に崇敬され、「應神さん」という名称で親しまれていました。
ご祭神が天照大神の第3王子「天津日子根命」なので王子神社というそうですが、「猫神さま」という愛称の方が有名かもしれません。
その理由は、王子神社にはお玉という猫が祀られているからです。猫の神さまなんて、かわいらしく感じますが、実は少し恐ろしいエピソードがあります。「日本三大化け猫騒動」はご存じでしょうか?有馬と鍋島、そして阿波の化け猫騒動のことをいいますが、阿波の化け猫となったのが王子神社に祀られる三毛猫お玉だったのです。そしてお玉の飼い主が、お松さんという女性でした。江戸時代、徳川綱吉の世のことです。加茂村の庄屋、惣兵衛が不作の村を救うために、五反の田地を担保に商人の三左衛門からお金を借りました。惣兵衛は期日前にお金を返しましたが、三左衛門は証文を渡さずに、借金が返済されていないと言い出したのです。ゴタゴタしているうちに惣兵衛は病気で死んでしまいました。
惣兵衛の妻お松は、三左衛門に証文を返すように頼みましたが、三左衛門は金を受け取っていないと一点張り。ついには田地まで取られてしまいました。お松は長谷川奉行に訴えましたが、三左衛門からわいろを受け取っていた奉行所は、理不尽な裁定を下しました。お松は覚悟を決めてお殿様に直訴します。当時、直訴は死に値する行為。お松は即刻取り押さえられ、死罪を言い渡されました。処刑の時、お松のそばにはお松を守るように毛を逆立てたお松の愛猫お玉の姿があったそう。そしてその後、三左衛門と奉行の許に怪しい猫の姿が見られるようになりました。お玉がお松の怒りや恨みを引き継ぎ、復讐のために化け猫となったのです。化け猫の祟りを受けた両家には様々な不幸が続き、共に断絶したのでした。阿波の化け猫騒動の舞台は徳島市ではなく阿南市の出来事でしたが、長谷川奉行家はこの地にお松とお玉の霊を祀りました。
その後王子神社は「願いをかなえてくれる猫神さま」と知られるようになり、合格祈願、開運、良縁、商売繁盛の神さまとして多くの崇敬を集めているということです。
しっかり弔われて化け猫ではなくなった猫神さま。現在の王子神社では愛らしい猫の姿があふれています。特に御朱印はカラフルで愛らしい猫の絵入りで、しかも月替わり。2月22日の「猫の日」には、限定デザインも登場するそうですよ。