立ち入り
管理会社や大家さん等が、契約上の権限の上で賃借人の専有部に入ることです
通常、不動産賃貸契約を締結して入居を開始したあとは、原則、居住者に無断で各戸室内に入ることはできません。本人の同意が必要なほか、場合によっては立ち合いの元としているところもあります。
ですが一定の条件のもとに、不動産管理会社や大家さんなどが、管理者や物件所有者、賃貸している人自らの権限で、各戸の専有部に入ることがあります。これを、立ち入りと呼んでいます。
これは、賃料の長い滞納がある場合や建物の損壊や故障等が発生している場合などに適応されます。また、人命にかかわる、近隣への迷惑行為や不測の事態が生じた場合などに、不動産管理会社や物件所有者、市町村等の職員や委託業者等が、立ち入りを行うことがあります。
基本的に賃貸物件では、賃借人の意思に反していたとしても、大家さん側には修繕を行うことができる権利があります。
通常の生活では発生しない室内外の破損が起きていたり、自室は問題なくても、階下など周辺の部屋に水漏れや建材の破壊などが起きている場合も起こりえます。その場合、大家さんや指定する業者などの立ち入りや、修繕が行われることがあります。
ただし一般的には、すでに居住している住宅内でこういったケースに対応する場合、入居者立ち合いの元としているところが一般的です。また、立ち合いなどが行えない場合の修繕等の際、家財等が破損した時などに、広くカバーされるタイプの住宅総合保険の加入を義務付けている物件もあります。
敢えて不動産管理会社や大家さんに直してもらわず、自分の都合の良い日に自分が指定する業者に修繕を依頼し、その部分にかかった金額を後日請求することもできます(=造作買取請求権)。ですが、不動産管理会社や大家さんが極端に連絡を拒絶する場合以外、通常はいったん相談して、指定の工法や業者、料金範囲を確認し、合意を得たうえで、自分が指定する業者に修繕を依頼する形が一般的です。
同じ目的で、消防法上の点検や、犯罪捜査目的や税務調査等の目的で、適切な手続きや書状が出されているケースもあります。この場合も、各職の権限の上で、同じように立ち入りを行うことができます。
同じ目的でも、適切な手続きが行われていない場合には、あくまで入居者等本人の意思確認等が必要となります。
最近は、全国各地でこういった不適切な手続きによる侵入や、犯罪等の報道も頻繁に見られます。万が一、立ち入り理由を口述して玄関から押し入ろうとするケースがあれば、身分証明書の提示や連絡先、所属を確認し、所属先や本庁側に電話等で確認を行ったうえで、入室を認める方が良いでしょう。