保証人不要
契約に際して、親族や勤務先などの保証人が不要であることです
日本では、不動産物件の賃貸や売買、ローンなどを組むとき、特徴的な慣行があります。
それはもし、契約者が事故や事件に巻き込まれた時や、支払いなどが滞ったとき、代わりにお部屋を維持してくれたり支払いを行ってくれる、連帯保証人を立てなければならないというものです。
通常は、親族や勤務先法人など、本人の面倒を見ることができる人、お金を払うことができる人、相続などが発生する際にその範囲に入る家族親族関係にある人などの属性から、いくつかを満たしている人にお願いすることになります。
また、やり取りされる金銭が大きい場合や、取引を行うために手間取るケースなど、契約手続き自体をスムーズに行ってもらうために、契約自体の連帯保証人を立てる場合もあります。
これまでは、現代的な2年契約の住宅物件から約半世紀以上など末永く続く借地などの契約まで、すべてにこういった保証人が必要でした。
ですが現在、家族や1人世帯など、個人が主として利用する住宅物件などでは、個人で誰かにお願いするタイプの保証人は不要、といった賃貸契約が主流となってきています。高度成長期を境に、核家族化や非婚化、少子化と進んだことで、各世帯からつながる親族自体の人数が減っているほか、親類同士の繋がり自体も希薄となっていることが理由です。
また、親族や勤務先などの近しい人々に迷惑をかけてはならないといった日本人らしい生真面目さが原因となり、保証人を探しにくい人が増えたからといわれています。
保証人不要といった契約手続が増えたことから、同時期に増えたのが、保証会社と呼ばれる業種です。
金融機関で住宅ローンなどを組むときの指定保証会社として一般的でしたが、ごく低額の賃貸物件でも利用されるようになりました。通常は、契約時や契約更新時などに保証会社に保証料を支払い、その領収書などを添付して、不動産契約を行います。
もし家賃支払い等が遅れた時には、この保証会社から不動産会社や大家さんに家賃分の支払いが行われます。支払いが遅れた家賃については、延滞利息や手数料をプラスして、保証会社に支払います。
保証人不要の形での契約の場合には、物件ごとに指定された保証会社を利用するか、管理会社に数カ月分の家賃を保証金として預けておく、契約時に一年間分以上程度の家賃を先払いした後に毎月家賃として不動産会社にお金を入れる、といった方法が取られるのが一般的です。
不動産管理会社や大家さんに対しては、常に一定以上のお金が先払いしてある状態のため、万が一家賃の滞納があった場合や、不動産管理会社側で部屋の家財などを処分しなければならない場合に、この預け入れ金が充当される仕組みです。
このお金は、一般的な敷金よりはるかに高額となることも多いため、不動産契約時に一時的に支払う金額としては、かなりの負担となります。
保証会社と契約する際には、不動産会社や大家さんの審査の他、保証会社の審査にパスしなければなりません。
保証会社がどんな人に対して、何を基準に審査を行っているのかのポイントは、実はかなり大きく異なります。そのため、とある保証会社にお願いしたところ審査でNGとなっても、別の保証会社の場合には問題なく審査に通る、なんていうことも度々あります。
物件や不動産管理会社等によっては、募集中の各物件に対して、複数の保証会社の中から1社を任意で選べばよいとしているところもあります。
不動産の売買契約時、特に金融機関から融資を受けたりローンなどを組むときには、いくつかの金額に分けて複数の保証会社をお願いしなければならないことなどもあります。