防曇
ガラスの曇りを防ぐことで、お風呂場や洗面台の鏡や、一部の窓用フィルムにこの加工がされています
防曇(ぼうどん)とは、文字の通り「曇りを防ぐこと」をあらわします。
不動産関連では、お風呂場の電気スイッチやコントロールパネル、洗面台の鏡などに「防曇ガラス」や「防曇スイッチ」として表示されているものがあります。また、窓の曇りを防いだり、直射日光をコントロールする目的で販売されている一部の窓用フィルムに、この加工がされていたり、防曇目的のものがあります。
加工による防曇では、鏡表面に錫などの金属をベースとした薬品を塗布して、高温加工したもので、これによりガラス表面に曇りにくい膜を形成しています。通常の使用では落ちにくいものの、最近の強いイオン膜や酸化膜などを形成する特殊な洗剤、石鹸の泡などが付着して別の膜を表面に形成している場合には、曇りが発生しやすくなることもあります。
自動車の窓ガラスなどにも、防曇ガラスと呼ばれるガラスがあります。お風呂場や洗面台の鏡と加工方法は同じで、この焼付タイプが一般的です。
ビンテージカーなど、防曇ガラスが珍しかった時代の車の場合、車ガラス専用フィルム貼り付けなどで、防曇機能をプラスすることもあります。
お風呂場や洗面台など、湿度が高い環境で使う鏡の簡単な曇り止めとして、表面の真ん中あたりに石鹸を塗るというものが広く浸透しています。すぐにある程度の曇りが除去出来ることから非常に便利です。
ですが、使用後は、十分すぎるほど十分に洗い流さなければ、鏡の裏側や側面の金属を錆びさせて、黒いはがれを生んでしまう原因となります。
鏡の場合、このさびを腐食、腐蝕(いずれも、ふしょく)、しけ、さびなどと呼びますが、一度発生するとその箇所は直ることがありません。削り落とした後に、新たに金属を塗布する方法もなくはないのですが、新たに加工した部分だけ盛り上がった状態となり鏡面が美しくない他、さらなる腐食の原因にもなります。
何より費用自体が、新たに一般的な屋内向け耐食鏡や防曇鏡を買うよりも高価なため、腐蝕が始まった場合は、まるごと交換するのがおすすめです。
ともあれ、石鹸による防曇は、家財や設備を長く大切にという観点からは、あまりお勧めできません。
これとは別に、防曇用ヒーターと呼ばれる、ガラス内やガラスの下部などに電熱線などの発熱体を入れて、緩やかに加温することで周囲よりも温度をUPして、曇りを防ぐタイプの製品もあります。洗面台などの他、自動車のフロントリアガラスなどに、このタイプのものがあります。
ユニットバスや洗面台などの鏡に広く採用されており、湿度の高い環境で使うと、発熱体のある場所だけが曇らなくなるため、白い水滴の枠などが鏡面に出来上がります。
思った以上に電力を消費するため、使用しない時には小まめにスイッチを切っておくのがよいでしょう。日常的な鏡のお手入れでは、スイッチ廻りや洗面台などの背面配線部には水がかからないようにすること、スイッチ付きの場合は濡れた手でスイッチを操作しないことなどがポイントです。
窓の曇りを防いだり、直射日光を防ぐためのフィルムには、さまざまなタイプがあります。単純な樹脂貼り付け、発熱する樹脂や薬品、発泡性素材、ガス封入フィルムなどのタイプでは、単に施工するだけで、温度が伝わりやすいガラスと室内外の間に、温度遷移をゆっくりと起こしてくれる層を形成します。
そのため、貼っているだけで曇りが少なくなるとされています。室内外の温度変化や、屋内外どちらかの湿度次第では、フィルムが貼られていても曇ることもあります。
製品によっては、やわらかいビニールなど、日光や温度変化によって劣化が早いものがある他、フィルム自体よりも粘着剤などの劣化が早く、はがれやすいものもあります。特に熱がサッシフレームから伝わりやすい端部から曇りや劣化が発生しやすいため、こまめに確認しておきたいものです。
またフィルムタイプには、特殊樹脂や金属箔などを使った、ごく低温状態に発熱するタイプのフィルムもあります。周囲よりも若干熱をあげることで、曇りを発生させないというものです。
これらの場合、劣化してくると、サッシやガラス廻りのパッキンなどを早く劣化させてしまうことがあったり、さびが発生したりすることもあります。結露が発生しやすい季節や、日差しが強い季節の前後には、こまめにチェックするようにしたいものです。
他にも、メンテナンスがほぼ不要のタイプとしては、窓ガラスメーカーや販売店で施工される、2枚のガラス内へのフィルム封入済みサッシ窓、ガス封入タイプサッシ窓などがあります。取り扱い状況や、カバーできる防曇性能は、商品により異なります。